相続財産、相続人、被相続人に何が当てはまるか、以下の視点で確認することができます。
1 | 現預金が少なく、資産の大半が土地・建物等の不動産である。 |
納税資金の確保が困難になる。資産の分割が困難になる。共有財産にすると将来の売却が難しくなる。 |
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2 | 家族名義の預貯金がある。 |
税務署から相続財産と認定されるケースがある。 |
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3 | 相続発生時と遺産分割協議時で価格が異なる資産が多い。 |
財産に株や投資信託など価格変動するものがある。 |
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4 | 借入金残高のあるアパート等がある。 |
入居者が少なければ、収支が赤字になっているケースもある。 |
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5 | 先祖名義のままの土地がある。 |
遡って遺産分割を成立させなければならないケースがある。 |
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6 | 資産に農地が多い。 |
農業を継続するか否かは、相続人の意思に依存する。その意思により相続対策が変わる。 |
1 | 子供の数が多い。 |
相続人の数が多ければ、それだけで遺産の分割が難しくなる。 |
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2 | 特定の子(子の嫁)が親の介護をしている。 |
貢献度に認識の齟齬が生じる可能性がある。 |
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3 | 兄弟の仲がいいとは言えない。 |
遺産分割協議が成立しない可能性がある。 |
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4 | 相続人に障害者、認知症、未成年者の者がいる。 |
成年後見人制度の活用、特別代理人が必要になる。 |
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5 | 相続人が遠方、海外にいる。音信不通の子供がいる。 |
相続人が遠方にいる場合は、手続きが滞りがちとなる。 |
1 | 離婚した前妻との間に子どもがいる、後妻に連れ子がいる等、家族関係が複雑。 |
2 | 特定の相続人(子)に多くの財産を残したい。 |
3 | 配偶者や子ども以外に財産を残したい。 |
4 | 特定の子や孫だけに贈与をしたことがある。 |
5 | 多額の保険金をもらう子や孫がいる。 |
6 | 借金が多い、連帯保証人になっている。 |
7 | 子供がいない。 |
1 | 特定の子に事業を継がせたい。 |
2 | 事業承継税制を活用し、事業承継に係るコストを低減したい。 |
3 | 後継者に経営者としての教育を行いたい。 |
4 | 自社株が家族に分散している。 |
5 | 会社を継ぐ人が決まっていない。 |
6 | 事業で不動産を所有している個人事業主が子ども事業をに継がせたい。 |
相続対策は、画一的に行えるものではありません。
家族それぞれの事情を踏まえ、行わなければならない内容、その進め方が異なります。
「納税額が安ければよい」という安易な対応を行うと取り返しのつかないことになりかねません。
当事務所では、豊富な経験を踏まえ、円滑な相続対策をご提案しています。
当事務所の無料相談をご利用ください。
遺産は、相続税の非課税枠の範囲内で納税額も発生しないので、相続でもめることはない。
そうお考えではないですか?
ところが、そうも言えないのが相続です。
以下の図は、平成29年に家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の遺産総額別の内訳です。
遺産総額1千万円以下が33.1%、1千万円超5千万円以下が44.4%、実に77.5%が遺産総額5千万円以下のケースです。
裁判所 司法統計を再加工
http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/search
相続の現場を多く見てきた税理士法人 当事務所では、親の生前は仲が良かったにもかかわらず、いざ遺産分割となると兄弟の間でもめるというケースを多く経験して来ました。
親が生きているうちは、口に出せなかった兄弟・姉妹間の不満が遺産相続の場で噴出することがあります。
「自分はしてもらわなかったけれど、兄さん(姉さん)は、親から○○をしてもらっている」
「自分は、他の兄弟よりも親の面倒を見ていた」等々
これは、遺産の額にかかわらず起こりうることです。
もめるときはもめる。これが相続の現実です。
そして、このような経験は、簡単に修復できず、兄弟・姉妹間の仲違いの原因になってしまうケースがあります。
家は、兄弟仲が良いから大丈夫。お金のことでトラブルになるような育て方はしていない。
そうは思っても、円滑な相続のために配慮をしておくが親の勤めだとも言えます。
親の考え、気持ちを具体的な形で残しておくことをお勧めします。
争族を未然に防ぐための最善の策は遺言書を残しておくことです。
故人の遺志が明確であれば、その内容に多少の不満があっても、相続人として受け入れやすいものです。
相続人それぞれが勝手な主張を繰り広げるより、揉める可能性が少ないものです。
遺言書には、相続人それぞれに、どの財産を残したいのかを具体的に記載しておきます。
さらに遺言書に加え「付言事項」として、相続人それぞれに対する思いを書いた手紙を残すことをお勧めします。
親が相続人に、どの財産を残したいと考えたのかは、それなりの理由があるはずです。
「家業を継いでもらった」「介護してもらった」「他の兄弟の面倒を見ていた」等々、その思いを伝えることで、相続人の理解が得られ安くなります。
親の心のこもった手紙を読めば、納得せざるを得ないというのが人情というものです。
「遺言書の作成」はこちらをご参照ください。
贈与とは、民法に「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」(民法549条)と規定されており、個人から個人に財産を無償で与える契約です。
贈与税は、暦年(1月1日から12月31日まで)の間に取得した贈与財産の合計額について課税されます。
贈与には大きく分けて、暦年贈与と相続時精算課税の二種類があります。
生前に財産を贈与すれば、その分だけ被相続人の財産が減るため、相続税を節税できます。
ただし、贈与には贈与税がかかりますので、贈与税と相続税を比較し想定される相続税率より低い贈与税率で贈与することが節税の分岐点になります。
贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に適用される税率を掛けて算出します。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。
なお、贈与税の税率は、以下のとおりです。
【速算表】
課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 | 改正後の |
同左の | 改正後の |
同左の |
200万円以下 | 10% | - | 10% |
- | 10% |
- |
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% |
10万円 | 15% |
10万円 |
300万円超~400万円以下 | 20% | 25万円 | 20% |
25万円 | 15% |
10万円 |
400万円超~600万円以下 | 30% | 65万円 | 30% |
65万円 | 20% |
30万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 40% |
125万円 | 30% |
90万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 50% | 225万円 | 45% |
175万円 | 40% |
190万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 50% | 225万円 | 50% |
250万円 | 45% |
265万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 225万円 | 55% |
400万円 | 50% |
415万円 |
4,500万円超~ | 50% | 225万円 | 55% |
400万円 | 55% |
640万円 |
※1 平成27年1月1日以降贈与により取得する財産にかかる贈与税について適用します。
※2 直系尊属(父母・祖父母)からの贈与により財産を取得した受贈者(贈与年の1月1日において20歳以上の者に限る)について適用します。
相続時精算課税制度は、父母・祖父母から子・孫への生前贈与を選択できる制度で、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与を行った場合、子・孫の選択により利用できる制度です。
贈与時には、贈与財産に対する軽減された贈与税を支払い、その後相続時にその贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を控除できます。
この制度には2,500万円の特別控除があり、同一の父母または祖父母からの贈与において限度額に達するまで何回でも控除することができます。つまり、2,500万円までの贈与には贈与税がかからないことになります。
ただし、相続時精算課税制度を利用した場合、贈与税の基礎控除(110万円)は利用はでません。
贈与額が2,500万円を超えた場合には、超えた額に対して一律20%の贈与税が課税されますが、その贈与税は相続時に相続税額から控除され、相続税額が少ない場合は差額が還付されます。
相続時精算課税制度は、選択制なので、例えば父からの贈与については選択するが、母からの贈与には選択しない(暦年贈与を適用する)ことができます。ただし、一度選択したら取り消すことはできません。
平成27年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期を「消費税率10%が適用される場合」とそれ以外に区分し、更に「省エネ住宅等の場合」とそれ以外に区分し、それぞれ非課税限度額が異なります。
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 |
省エネ等住宅 |
左以外の住宅 |
2019年4月~2020年3月 |
3,000万円 |
2,500万円 |
2020年4月~2021年3月 |
1,500万円 |
1,000万円 |
2021年4月~2021年12月 |
1,200万円 | 700万円 |
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 |
省エネ等住宅 |
左以外の住宅 |
~2015年12月 | 1,500万円 |
1,000万円 |
2016年1月~2020年3月 |
1,200万円 |
700万円 |
2020年4月~2021年3月 |
1,000万円 | 500万円 |
2021年4月~2021年12月 |
800万円 | 300万円 |
なお、この特例を受ける場合には、上記のほかにも留意点があります。
詳細は、当事務所の無料相談をご利用ください。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます。
(注)配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
なお、適用を受けるためには、必要な書類を添付して贈与税の申告をすることが必要です。
平成25年4月1日から平成33年(2021年)3月31日までの間に、直系尊属(祖父母・父母等)から、子・孫・ひ孫等の直系卑属(30歳未満の者に限る)に対する1,500万円までの教育資金の贈与は非課税になります。110万円を大幅に超える非課税枠があるため、一括で多くの贈与を行うことができます。この制度では、信託銀行などに専用の口座を作り、そこにお金を預けることで子・孫・ひ孫等が教育資金として利用します。
平成27年4月1日から平成33年(2021年)3月31日までの間に、直系尊属(祖父母・父母等)から子・孫・ひ孫等の直系卑属(20歳以上50歳未満の者に限る)に対する1,000万円までの結婚・子育て資金の贈与は非課税になります。110万円を大幅に超える非課税枠があるため、一括で多くの贈与を行うことができます。この制度では、信託銀行などに専用の口座を作り、そこにお金を預けることで子・孫・ひ孫等が結婚・子育て資金として利用します。
平成29年分の相続税の申告状況について(国税庁報道発表資料)によれば、相続財産の金額の構成比は、土地36.5%を占めています。
相続財産の中に占める土地の割合が大きい場合、遺産分割で相続財産を現金で渡したり、相続税を納付するための現預金を準備する必要があります。
また、相続対策不足で遺産分割そのものが難航し兄弟間の関係が悪化する至るケースもあります。
このような場合、資金の捻出には、土地の売却で対応することが考えられますが、売却が円滑に進まない可能性もありますので、事前の対策が重要となります。
土地の有効活用として、相続対策を兼ねアパート・マンション経営、貸宅地、不動産管理会社の設立があります。このような場合、不動産の適正な評価額算定、土地賃貸契約書の作成や税務申告のお手伝いをします。
相続対策として、共有不動産の共有解消や底地の譲渡等があります。このような場合、不動産の適正な評価額算定、土地交換契約書の作成や名義変更等のお手伝いをします。
相続対策として、底地の譲渡や底地権と借地権の一括譲渡等があります。このような場合、不動産の適正な評価額算定、売買契約書等の作成と名義変更や税務申告等のお手伝いをします。
相続対策として養子縁組を行うことがあります。
例えば、孫を養子にするケースや長男の妻を養子にするケースがあります。
以下のような、メリット・デメリットがありますので、事前の検討が必要です。
生命保険を活用した対策は「相続税の節税」「納税資金の確保」「スムーズな遺産分割」を目的に行います。
遺言書とは、被相続人(死亡した方)が自分の死後に自分の財産を誰に対し、どのように分配するかなどを記載したものです。
遺言書の様式は定められていませんが、書き方については、法律上「法律の定める方式に従わなければ、効力を発揮しない」と明記されています。(民法960条)そのため、法令で決められた範囲内で書かれた遺言書でないと効力がありません。
遺言書には、上記の「法定遺言事項」の他に、法的効力はありませんが家族へのメッセージや、葬儀、納骨に関する希望などを記載した「付言事項」があります。
遺産争いに至るケースの中で「故人の意思が分からないため遺産争いが起こってしまった」、「遺産分割で相続人間の意見が合わず、それぞれが自分の主張をしだし遺産争いが起こってしまった」というケースが多くあります。
生前は「子供たちは仲が良いから大丈夫」、「遺言を残すほど財産がない」と思っていても、現実の相続では、いろいろなことが起こります。
そのような争いを未然に防ぐための手段として「遺言」があります。
以下のいずれかに当てはまるケースは、遺言書の作成をお勧めします。
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
遺言者はいずれかの形式を選択することになりますが、法律的に有効な遺言を作成し、確実な実行を望む場合、公正証書遺言をお薦めします。
自筆証書遺言の様式緩和(2019年1月13日以降) |
2019年1月13日以降、自筆証書遺言の財産目録部分に限り、パソコン等での作成が認められるようになりました。 これまで、遺言者が手書きで作成することを求められていた財産目録を、パソコン等で作成できるのは作成者の負担を大幅に軽減します。
法務省資料 自筆証書遺言に関する見直し(PDF) |
自筆証書遺言預かり制度(2020年7月10日以降) |
自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができます。 遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べること、遺言書の写しの交付を請求することができ、また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。 法務省資料 相続に関するルールが大きく変わります(PDF)5ページ参照 |
相続税試算、遺言書文案作成、公証役場の立会いなど、相談から作成まで一連の業務を経験豊富な専門スタッフがお手伝いします。
遺言者亡き後に、遺言執行が行われます。最初に「法定遺言事項」(「相続分の指定」「遺産分割方法の指定」「子の認知」「相続人の廃除」など)が相続人に伝えられます。
私共の経験では、その場は重い空気が流れることが常であり、表現しづらい緊張感が生まれます。
「法定遺言事項」が伝えられると、それぞれの相続人の中には、遺産分割に対する不公平感、不満を持たれる方もいます。
このような状態で「法定遺言事項」だけを伝えて終わるのか、「付言事項」として故人の遺志も伝えるのかでその場の雰囲気は大きく変わります。「付言事項」として記載した故人の想いが相続人に理解され、その場が和むケースが多くあります。どうしてそのような遺産分割になったのか、故人の遺志を汲むことができるのは「争族」を回避する重要なプロセスといえます。
「付言事項」を記載するに当っては、以下の事項に留意することをおすすめします。
そして、家族へのメッセージとともに、自分の葬儀や納骨の方法、臓器提供に関すること、遺品処分の方法など、遺された家族、関係者が困らないように方向性を示しておくことが重要です。
なお、否定的な内容や家族、関係者への生前の不満や愚痴等は、記載しないようにしましょう。
残された遺族に新たな火種を残すことになりかねません。
最初に「法定遺言事項」をすべて書き、その次に「付言事項」を書きます。
最後に、日付・住所・氏名を書き、押印します。
実際に遺言や付言事項を作成する場合に、例文を参考にしたい場合は、当税理士事務所にお尋ねください。
豊富な例文を用意していますので、状況に合わせた例文をお届けします。
相続税は、原則として、法定期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月目の日)までに金銭で納付することになっています。
しかし、納税額を金銭で用意することが困難な場合もあります。
相続財産に現預金や換金できる有価証券等が少なく、土地や建物などの不動産が多い場合には、このようなケースが多くあります。このような事態にならないよう納税資金対策を行うことをお勧めします。
エンディングノートは、遺された遺族に対して亡くなった人が残す最後の言葉になります。
遺された遺族にとって「亡くなった後にどうして欲しいのか」が分からないのは悲しいことです。
日本には、古くから「故人の遺志」を大切にするという風習があります。
ご自分の遺志をエンディングノートという形にして遺すのは、遺された遺族のための思いやりとも言えます。
なお、エンディングノートには、遺言書と違って法的な効力が無いので、自分の思っていることを思っているとおりに書けるというのも特徴の一つです。
エンディングノートへの記載項目は様々で特に決まりはありません。しかし、その性格から万が一の時や判断力や意思疎通に支障を来す病気にかかった場合に備えて、ご自分のことや家族のこと、お世話になった方のこと、財産の状況と遺産分割のことなどについて、ご自分が書き留めておきたいと思うことを記載することになります。
一般的には、以下のような項目を記載する例が多いようです。
エンディングノートを相続という面で考えると、ご自分の財産を明確にしておくことで、後日の財産状況の把握に関する負担を軽減させることができます。
また、お年を召して物忘れを起こすことがあった場合、事故や病気で意思能力を喪失した場合に備忘録として使用できます。
さらに、普段はなかなか言えない家族への思い等もエンディングノートになら書き易いと思われます。
エンディングノートを作成することで、残されたご遺族がお困りになる可能性を低くすることができます。