遺言書とは、被相続人(死亡した方)が自分の死後に自分の財産を誰に対し、どのように分配するかなどを記載したものです。
遺言書の様式は定められていませんが、書き方については、法律上「法律の定める方式に従わなければ、効力を発揮しない」と明記されています。(民法960条)そのため、法令で決められた範囲内で書かれた遺言書でないと効力がありません。
遺言書には、上記の「法定遺言事項」の他に、法的効力はありませんが家族へのメッセージや、葬儀、納骨に関する希望などを記載した「付言事項」があります。
遺産争いに至るケースの中で「故人の意思が分からないため遺産争いが起こってしまった」、「遺産分割で相続人間の意見が合わず、それぞれが自分の主張をしだし遺産争いが起こってしまった」というケースが多くあります。
生前は「子供たちは仲が良いから大丈夫」、「遺言を残すほど財産がない」と思っていても、現実の相続では、いろいろなことが起こります。
そのような争いを未然に防ぐための手段として「遺言」があります。
以下のいずれかに当てはまるケースは、遺言書の作成をお勧めします。
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
遺言者はいずれかの形式を選択することになりますが、法律的に有効な遺言を作成し、確実な実行を望む場合、公正証書遺言をお薦めします。
自筆証書遺言の様式緩和(2019年1月13日以降) |
2019年1月13日以降、自筆証書遺言の財産目録部分に限り、パソコン等での作成が認められるようになりました。 これまで、遺言者が手書きで作成することを求められていた財産目録を、パソコン等で作成できるのは作成者の負担を大幅に軽減します。
法務省資料 自筆証書遺言に関する見直し(PDF) |
自筆証書遺言預かり制度(2020年7月10日以降) |
自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができます。 遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べること、遺言書の写しの交付を請求することができ、また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。 法務省資料 相続に関するルールが大きく変わります(PDF)5ページ参照 |
相続税試算、遺言書文案作成、公証役場の立会いなど、相談から作成まで一連の業務を経験豊富な専門スタッフがお手伝いします。
遺言者亡き後に、遺言執行が行われます。最初に「法定遺言事項」(「相続分の指定」「遺産分割方法の指定」「子の認知」「相続人の廃除」など)が相続人に伝えられます。
私共の経験では、その場は重い空気が流れることが常であり、表現しづらい緊張感が生まれます。
「法定遺言事項」が伝えられると、それぞれの相続人の中には、遺産分割に対する不公平感、不満を持たれる方もいます。
このような状態で「法定遺言事項」だけを伝えて終わるのか、「付言事項」として故人の遺志も伝えるのかでその場の雰囲気は大きく変わります。「付言事項」として記載した故人の想いが相続人に理解され、その場が和むケースが多くあります。どうしてそのような遺産分割になったのか、故人の遺志を汲むことができるのは「争族」を回避する重要なプロセスといえます。
「付言事項」を記載するに当っては、以下の事項に留意することをおすすめします。
なお、否定的な内容や家族、関係者への生前の不満や愚痴等は、記載しないようにしましょう。
残された遺族に新たな火種を残すことになりかねません。
最初に「法定遺言事項」をすべて書き、その次に「付言事項」を書きます。
最後に、日付・住所・氏名を書き、押印します。
実際に遺言や付言事項を作成する場合に、例文を参考にしたい場合は、当税理士事務所にお尋ねください。
豊富な例文を用意していますので、状況に合わせた例文をお届けします。